新鮮でおいしいパンは、私たちの毎日の食生活を豊かにし、すっかり欠かせないものとなりました。そして、時代の流れとともにパンも進化を遂げ、多種多様なパンが食卓に並ぶようになりました。さらに、パンづくりは雑誌でもたびたび特集が組まれるなど、ブームになりそうな勢いを持ち始めています。
次々と新しい種類のパンが登場していますが、おいしく焼くためには高度な技能は必要です。今回はおいしいパンづくりのプロ「パン製造技能士」を紹介していきましょう。
パン製造技能士とは、パンづくりの実務経験者を対象として、その技能を国が認定する資格です。
パンはさまざまな工程を経てつくられていて、おいしさの追求のためにはまず、生地の材料の調合から仕込み、発酵、仕上げ、できあがりチェックといった基本的な技術を身につけておかなければなりません。パンは発酵食品であるために大変デリケートな食べ物ですので、職人の腕が出来栄えを大きく左右します。パン製造技能士資格は、そのようなパンづくりの実力を公的に証明するものです。
パン製造技能士には、特級、1級、2級の3レベルがあり、特級は管理者レベル、1級はパン作りにおける上級者レベル、2級は中級者レベルを合格の基準にしています。受験するには一定の実務経験が必要で、職業訓練歴や学歴によって年数は異なります。実務経験のみの場合、2級は3年、1級は12年(2級取得者はその後5年)、特級は1級合格後5年の経験が必要です。しかし2級に関しては、専門学校などの指定された課程を修了していれば、実務経験を免除されます。
試験内容は1級・2級は学科試験と実技試験からなり、食品一般やパン一般、関係法規、安全衛生、材料の選定、生地の発酵、成形加工、熱加工、仕上げなど、幅広い出題がされます。特級は筆記試験のみで、管理的能力を問う内容となっています。
働きながら、技能を磨くのも良いですが、製パン専門課程のある専門学校に通うと、パンはもちろん、食品全体の知識も養われ、卒業と同時に2級の検定試験を受けることが可能です。製パンが学べる専門学校で幅広い知識と技能を身につけておけば、その後の1級、特級へのステップアップもスムーズに進むことでしょう。
パン製造技能士試験に合格すればパンづくりのプロとして認められ、職場で高く評価されます。原材料の選択から焼成までのすべてを、自分ひとりか家族を中心に数人で担当する自営のベーカリーや、ホテルの製パン部門、自動化された大量生産ラインで100種類以上のパンを大量につくる大手メーカーなど、パン製造技能士の活躍フィールドはたくさんあると言えるでしょう。
前日に量っておいた小麦粉、イースト、塩、砂糖、油脂、粉乳、卵などの配合原料を、朝早くミキサーと呼ばれる機械を使って混ぜ合わせ、練り上げて生地をつくります。
パンを焼くオーブンにスイッチを入れたり、パンに使うクリームやジャムなどの具材を揃えておきます。
●「成型」「発酵」
仕込みの終った生地の練り具合、硬さ、温度をチェックし、生地を一定量に分割して、手や機械を使ってパンの形を整えていきます。成型された生地を型や鉄板の上に収め、一定の温度・湿度に保たれたホイロと呼ばれる部屋に入れ、その中でイーストの働きによって生地を膨張させます。ホイロの中はそれぞれのパン生地に適した温度・湿度に保たれています。この工程は非常に体力が必要です。
●「焼成」
パンの種類に応じてオーブンの温度、時間を設定します。このときの的確な調節によって、パンのおいしそうな焼色とこうばしい香りがつくりだされます。熱いオーブンに型や鉄板を出し入れするので、やけどをしないよう注意を払わなければなりません。
●「仕上げ」
こうして焼き上げられたパンは、網棚状のラックに並べて自然放冷ましたり、また装置化された工場では温度、湿度をコントロールした冷却工程によって冷却されます。その後、そのまま店頭に並べられるものもあれば、食パンのようにスライスして販売されるものもあります。
こうして店頭に並ぶパンは、今や毎日の主食やおやつになり、大切な食物として消費されています。パン製造技能士は人の口に入る食品を製造する仕事ですから、手洗いはもちろん、清潔な服装と健康を維持するなど、衛生面での注意も大いに必要です。また、現在ベーカリーショップにはたくさんの種類のパンが並んでいて、スイーツのようなパンも多く、お菓子との境界線が曖昧なものになってきました。これからのパン製造技能士には、パンを焼く基本的な実力はもちろん、お菓子作りに欠かせない技術やセンスも求められていくでしょう。
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