「ソムリエ」という職業名を頻繁に耳にするようになったのは、平成7年に東京で開催された世界ソムリエコンクールにおいて、日本代表の田崎眞也さんが優勝してからではないでしょうか。
その話題性とともに、ワインの持つ健康に関する作用も注目を浴び、食事を楽しみながら健康を増進することができるワインの人気は不動のものとなりました。
ただ単に食事とワインを嗜むのではなく、両者が互いに引き立て合える相乗性を知り、その知識をもってホテルやレストランにおいてワインに関する最良のサービスを行うのが「ソムリエ」の仕事です。
ソムリエ(女性はソムリエール)は、専業の「ソムリエ」、ウェイター・ウェイトレス兼務の「メートル・ドテル・ソムリエ」、自らレストランなどを経営する「レストラテール・ソムリエ」、酒庫を担当する「カヴィスト・ソムリエ」に大別されます。
まず、ワインは仕入れをしてその日のうちに販売する商品ではありません。ソムリエは適切な時期に廉価で購入して、じっくり熟成させながら飲み頃を判断します。このため、仕入れ、熟成保管がソムリエの重要な仕事になっています。ソムリエは購買したワインのリストを作成し、客席では来客の注文する料理や、嗜好に合うワインや飲み物を勧めるなどの接客サービスを行います。
●ソムリエはまず、主酒庫からデイセラーと呼ばれる店内に近い小さな酒庫に、前日消費されたものと同じワインを補充します。グラスを磨き上げ、テーブルにセットし来客を待ちます。
ソムリエの服装は、黒の短めのコート、黒ズボン、蝶タイに加えて黒のタブリエ(前掛け)を着用するのが特徴です。胸にはぶどうの房のバッジをつけます。タストヴァン(きき酒用銀杯)を首から下げることもあります。リトー(サービス用白布)を手にし、ティル・ブション(コルクを抜くナイフ)をポケットに入れます。
●客が席に着くと、ソムリエはすぐに食前酒の注文を聞きます。出される料理が決まると、それを頭に入れ、見合うワインを勧めます。
シャンパーニュや白ワインであれば、ソー(冷却桶)に入れ、冷やしてからコルクを抜きます。赤ワインの時には、パニエ(バスケット)に入れてテーブルまで運び、デカンターに移し変える作業をしてからホストに味見をしてもらい、確認の上でゲストのグラスに注ぎます。
食後には食後酒を勧め、葉巻のサービスなども行います。
以上の業務を遂行するには、ソムリエは世界のワインについて歴史、気候、風土、土壌、ぶどう品種、品質等級、特徴などのワインに関する幅広い知識と、完璧な接客スキルを身につけておかなければなりません。
ソムリエの資格を有していなくても、ソムリエとして仕事に就くことは可能ですが、専門職として、資格なしでその実力を認めてもらうのは容易なことではありません。そのため、やはりソムリエ資格は持っておいた方が良いと言えるでしょう。
ソムリエ資格取得のための受験条件は、実務経験5年または日本ソムリエ協会の正会員になってから3年以上経つこととされています。現在は、飲料サービスなどのコースがある専門学校も増えてきています。このような専門学校を卒業後、ホテルなど大きな組織のコミ・ソムリエ(ソムリエ見習い)の職につければよいのですが、実際は専門学校を出るとウェイター・ウェイトレスやバーテンダーとして働き、経験を積んでソムリエになるという例が最も多いようです。
ソムリエをめざし、いずれの道を歩むにしても、接客サービスが仕事の中心になるのは確かなことです。来客の立場に立った思いやりのあるホスピタリティ精神を持って、サービスを提供することが大切です。
また、専門的な知識の習得や味覚の訓練を継続して行わなければならないため、記憶力、探求心、根気強さも求められるでしょう。
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